笹塚diary

渋谷区笹塚を愛し、この場所で生活するシングルマザーの日記

2024.1.27-1:誕生日革命

私の恋人はそれほど気がきく方ではない(仕事ではできる人なのだけど)。誕生日や記念日などに何か贈り物をしてくれたり、お店を予約してくれるような人でもない。また、本人もそういうことを今までもしたことがないし、するものだと思ってもみなかったらしい。思わず「これまで、記念日とかの後に彼女に怒られたり振られてきたんじゃない?」と聞いたら「なんでわかるの?」と驚いていた。

でも、お願いしたことは誠意を持ってやってくれる人でもある。だから「私の誕生日には(彼の得意料理の)フレンチトーストを朝食につくってほしい。それからお手紙とお花をちょうだい」と具体的にお願いしてみた。昨年の誕生日にフレンチトーストをつくってくれてうれしかったのと、今年は彼が花束を抱えているところが見てみたかった。

42歳になる私はもはや誕生日をお祝いしてもらうことが嬉しい年齢でもないし、サプライズを期待してもいないし(むしろどんな顔をしていいかわからないからしないでほしい!)そういう彼のスマートでないところこそが好ましいと思っていた。

そう、思っていたのだ。
それなのに。

それにしても誕生日ってどの瞬間からはじまるものなのだろうか。0時になった瞬間?その日の朝に起きた瞬間?生まれた時間から?

昨年は「0時になった瞬間、おめでとうのLINEを送るね」と言って、本当に送ってくれた彼。だから今年もしてくれる気がしていた。校了前で残業続きだったのも知っていたけれど、昨年同様、0時ちょうどにお祝いのLINEをくれるのではないかと。

1月27日の0時。私は42歳になった。

その瞬間、私は仕事から帰ったばかりの彼とLINEのやり取りをしていた。いつものようにお互いの今日の話をしたりしているうちに、10分ほどして「そろそろビデオ通話する?」というメッセージがきたので、あれっ、と思った。ビデオ通話を繋いだ後も「元気ない?」「どうしたの?」と彼が言うので、なんでもない、と返していたが、「あ、0時過ぎてた!おめでとう」と言われた瞬間、涙が出てきてしまった。

「去年は、日付が変わった瞬間、おめでとうって言ってくれたのに!」
「もう、誕生日なんてなくなればいいのに!」

わー、め、面倒くさい……!!!!

今、こうして書いてみると、なんだかもう面倒くさすぎるし、どうかしている。また、42歳にもなったというのに、このへその曲げ方は恥ずかしすぎる。少し弁解させてもらうと、彼に0時ちょうどにお祝いをしてもらいたかったというよりは、昨年はしてもらえたことを忘れられてしまったというがっかりの方が大きかった。

「0時になったの気づかなかったんだ。ごめん。誕生日を忘れていたわけじゃないんだよ。だってほら、これ買ってきたよ」と、フレンチトーストをつくるための牛乳と卵を見せてくれた彼。

仕事で忙しい時期にこんなことで泣いてしまって申し訳なかったと思った。こんな恥ずかしすぎる話を、自戒を込めてあえてここに書いておこうと思う。

来年の誕生日が近くなったら、1月26日の23時55分にアラームを設定してもらうことにした。これで解決。目を腫らしたまま眠った。

翌朝、起きてきた息子が、開口一番に「誕生日おめでとう」と言ってくれた。
早寝の息子はいつも0時の時点では眠っているので、朝いちばんにおめでとうと言ってくれる。息子の誕生日も同じだ。日付が変わる頃にはもう息子は寝ているから、起きてきてすぐに「おめでとう」と言うことにしている。

息子と私の「誕生日のはじまり」は、朝いちばん。息子が物心ついてからずっと。もし息子が何も言ってくれない年があったら、やっぱり私は昨夜のように泣いてしまうだろうか。

嬉しい言葉をくれた息子は学校へ、私は昨日泣かされた(?)恋人の家へ。会うなりニヤニヤしながら「……お誕生日おめでとう」と言われる。恥ずかしすぎて平謝り。いい歳して!いい歳して!

念願のお手製のフレンチトーストをいただき、出勤する彼を駅まで送る道すがら「昨夜は『誕生日なんていらない!廃止だ!』とかなんとか、私、言っちゃって。あれは、もう誕生日革命寸前だったね」と笑う私に、彼は「昨日のこともう笑ってる。切り替えが早いの、本当にすごいね」と苦笑していた。

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