笹塚diary

渋谷区笹塚を愛し、この場所で生活するシングルマザーの日記

2024.2.26-3.2:カモがいた毎日

笹塚にやってきたカモたちに、すっかり夢中。

後から来た「つがい」のカルガモ二匹は、基本的に朝と夜はいなくて、昼にどこかからやってきて食事を楽しんでいるようだった。いつもメスの方が食べるのに夢中で、オスはあたりを警戒している。一般的に難しいとされている雄雌の見分け方も、このつがいを定点観測しているうちにわかってきた。オスの方は色が濃くて尾羽がしっかりしており、メスの方はほっそりとしていて(あれだけ食べているのに)色が薄く、優しい雰囲気を漂わせている。

一方、数週間前からいる元ガモには、頬にチークのようなグレーの模様があり(かわいい)、羽の一部が身体に収納しきれず少しだけ出ていた。三匹が同時に同じ場所にいても、元ガモは少し離れたところからせっせと食事をする二匹を静かに眺めていたりして、積極的に縄張り争いをするような様子はない。歩き方もおぼつかないし、もしかしたら結構年を取っているのかもしれない、と思った。

基本的には眠っていたり、毛づくろいをしていてあまり動かない元ガモだったけれど、一度、旧水路をスイスイと泳ぎ、暗渠の中へ意気揚々と入っていく場面を恋人が目撃したことがあり、その動画を見せてもらった時にはワクワクした。元ガモの冒険だ!と。

それ以来、見かけない時には「また『冒険』に出かけているのかな」と想像するようになった。また、いつもの場所にいないと思った時にも、風が強い日は橋の下にいたり、帰ってきて撮った写真を確認すると写り込んでいることがあった。今日はどこにいるんだろう、と川辺を探すのも楽しかった。

朝・昼・晩と、笹塚駅を利用する時には必ず玉川上水の旧水路に立ち寄るようにし、カモたちがいたら喜んでしばらく様子を見守った。

昼の玉川上水にはゆっくり足を止めて川面を眺めている人もいた。出先から戻る途中、遠くから元カモを見つけて、あ、いる、と胸を弾ませて近づいた私に、ここどうぞ、とカモウォッチングの場所を譲ってくださったおばさまからは「毎年来ているのよ」「昨年はこのカモもつがいだったの」「夏前まではここにいるはず」と、ローカル情報を教えてもらうことができた。

以前、笹塚の街は若い人が多いと書いたけれど、東北沢方面に高齢者向け住宅施設があるようで、この辺りではヘルパーさんに付き添われて川沿いを散歩する年配の方々をよく見かけた。立ち止まって川沿いの桜や草花、水鳥を眺めている人も多く、都心とはとても思えないのどかな雰囲気が漂う。笹塚の街の新たな一面を知った気がする。

週末も笹塚にいるカモたちを気にして遠出はせず、明大前を流れる神田川のカモを見に行った。このあたりにはたまにカルガモマガモの雑種だと思われる「マルガモ」がいるのだが、他のカモに比べて気性が荒く、縄張りに入ってくるマガモカルガモがいるとすぐに追い返してしまう。その心を「自分のアイデンティティがわからなくなって、荒れているのかな」などと推測してみたり。こんなふうにカモたちの様子を眺めているだけであっという間に時間が経ってしまうのだった。

(笹塚に来たカモの話はこちらにも書いています)