笹塚diary

渋谷区笹塚を愛し、この場所で生活するシングルマザーの日記

2024.2.13-21:日記しか書けないけどまだ書いてる

大学時代のゼミの友人たちと20年ぶりに会った。

私が所属していたのは小説の創作ゼミだった。何年も連続で直木賞候補になったけれど結局受賞できなかった、という作家の先生のもとで日々小説を書き、互いに論評し合い、年に一度雑誌をつくった。一応、そのゼミからは文学賞を受賞した商業作家やその道ではちょっと有名なノンフィクションライターも出ている。

私がそのゼミを選んだのは指導教員のファンだったからというミーハーな理由。それまで小説を読むのは好きでも、自分では一度も書いたことがなかった。毎週の課題でもどうしてもうまく書けなくて、毎年ゼミ誌には自分の日記をまとめて掲載していた。先生には「君は自分の半径何メートルのことしか書けないんだな」と叱られながら、居心地の良さに3年も在籍した挙句、やっぱりまともな小説は一度も書けなかった。先生ごめんなさい。

でも、普段から暇を見つけては何か書いている仲間の姿を眺めたり、「書いてる?」「あの本読んだ?」と気楽に言い合える雰囲気が好きだった。高校生の頃は何か読んだり書いたりすることを恥ずかしいことのように思っていたけれど、そのゼミには読むことが好きな子と書くことが好きな子しかいなかったから。私の日記も皆、小説のように真剣に読んでくれて、「自分のことをここまでさらけ出すその心意気を評価したい」と言ってもらえたことは今も、一から物を生み出せない自分の支えになっている。

まだみんなは何か書いているの?と尋ねると、一人は漫画に転向し、一人は数年前に書いたきりで、一人は卒業以来一度も書いていないと言っていた。

私自身は、結婚して子供を産んで離婚して恋愛をして、今はその日々のことをブログに書いていると言ったら、皆「さすが!」と大笑いしながらも、喜んでくれた。「まだ書いているんだね」。

うん、やっぱり日記しか書けないけど、書き続けている。

お気に入りの場所にいるカモ

笹塚に一匹のカモがきてから、私たちの生活はすっかりカモ中心になった。

朝は、笹塚駅まで恋人を見送りつつ玉川上水旧水路に立ち寄り、二人でカモがいるかを確認。日中、仕事先から直帰する際には必ず見に行き、夜は仕事帰りの恋人から「いたよ」「今日はいなかった」と写真付きで報告がある。
普段、カモ類は同じ場所に長く滞在することはそれほどないように思うのだが(日によっている場所が違う)、このカモは大体いる場所が決まっていた。

週末は自転車で代々木公園へ。中央の池でマガモカルガモが気持ち良さそうに泳ぐ姿を眺めた後は、笹塚のカモにあげるためのどんぐりを拾った。

カモのためにどんぐりを探す

「いつもの場所」ですましている『笹塚のカモ』にドングリを転がし落とすと(餌付けはしたくないので、偶然を装いさりげなく)、一つだけ食べてくれた。嬉しい!

“カモパトロール”の前後には、旧水路の近くの「麦と卵」でパスタを食べることが増えた。おすすめはローストチキンと卵が乗った「ペペたま」。生パスタがもちもちでおいしい。

この週は仕事が立て込み、心身ともにかなりきつい状況だったけれど、今日もカルガモが笹塚にいる、と思うだけで心が明るくなった。