昼は蒼凛で天ぷらそばを、午後は十号通り商店街のみなと屋でかき氷とたこ焼きを食べ、笹塚の食い倒れコースを満喫。みなと屋はかき氷が有名な行列店だけれど、もともとはたこ焼き屋。かき氷の冷たい甘さにたこ焼きの熱いしょっぱさが絶妙なバランスでおいしく感じられ、店頭でたこ焼きを焼いているおばさんに「おいしかったです!」と声をかけると「そうでしょ?」と、うれしそうな顔をこちらに向けてくれた。店を出ると彼が「長く住んでるおれよりも笹塚の人と話してる」と笑っていた。

夕方になって少し涼しくなってきてから、下北沢BONUS TRACKで行われているブックマーケット「BOOK LOVER'S HOLIDAY」へ。
この日はB&Bの12周年のトークイベントも同時開催され、賑わっていた。
一階のギャラリーでは、写真家の金川晋吾さんがご自身の書籍を中心に販売していた。金川さんは常に生きる上での“しっくりこなさ”と向き合い続けていて、今は男女二人のパートナーと生活しながら新しい家族の形を実践している。そのあたりのお話は、この日購入した「いなくなっていない父」の最終章でも詳しく読めるようだった。
私も“しっくり”を探し続けて転居や離婚もしたけれど、心までは引っ越せない。金川さんが作品作り等を通して試行錯誤を続ける姿に共感していることをお伝えすると、Webの記事をご紹介くださった。
ほかにお話できたのは太田靖久さん、友田とんさん。お二人からはZINEや本作りへの思いや裏話をうかがった。百万年書房の店頭に立つ北尾修一さんのお元気そうな姿を見てうれしくなり、思わずお声がけする。「自分思い上がってました日記」にも登場する娘さんにもお会いできて感激。これまでに読んだ百万年書房の本の感想を伝え、北尾さんからは新刊などのおすすめもしていただいた。
夏の夜ごはんはやっぱり、外が気持ちいい。台湾ビールとレモンサワーを飲みながら、BONUS TRACKにきたら必ず食べる大浪漫商店のルーローハンと「お粥とお酒ANDONシモキタ」のトロガッコ丼を。ふかふかのお米の上にトロといぶりがっこ、卵が乗っていてとてもおいしかった! お店の方によれば、お米はあきたこまちを羽釜で炊いているのだそうで、店頭に飾ってある大きな羽釜をじっくり見せてもらった。

いろいろな人と話せて楽しい一日だった。
誰かに伝えたいポジティブなことを、心のうちに秘めておくのはもったいないといつも思っている。そして、できればその人に直接伝えたい。おいしいものを食べたらおいしかったと、おもしろい本を読んだらおもしろかったと。時に見当違いのことを伝えていたりするかもしれないし、言及されるのが嫌な人もいるかもしれない。でも、快く受け取ってくれる人の雰囲気はなんとなくわかるし、もし自分が物を売っていたら、買い手から良かったと言ってもらえるのはうれしいと思う。そして励みにもなるのではないか。喜んで受けとめてくれそうな人にはやっぱり伝えたい。心を動かす素晴らしい物を生み出してくれたことのお礼と、敬意を込めた賛辞を。
普段、クライアントの意向が強いBtoBの仕事をしているので、受け手の顔が見えづらく、最近は業務が自分の想像の範疇を超えていると感じて悩むことも多かった。自身が心の底から良いと思える物を作ったり売ったり、買い手とコミュニケーションがとれるシンプルな仕事をしてみたいと考えるようになったのはこの頃からだったように思う。なかなか世の中にそんな仕事ないよ、と言う人もいるかもしれない。でも、実際には「そんな仕事」を目の当たりにすることが多い夏だったのだ。