嵐の夜が嘘みたいな、晴れやかな朝。何事もからっと忘れられる二人だから一緒にいられるのだろうし、すぐに同じようなことでもめたりするんだろう。前にケンカしたときの内容を、二人して思い出せないなんてこともある。
彼の顔色も昨日とは打って変わって明るく、ほっとひと安心。カルガモを確認しに、午前中から笹塚散歩(カモパトロール)へ。今日は旧玉川上水両方の用水路で、それぞれ一匹ずつ発見。大きな木の影が揺れる水面でのんびり眠っていた。気持ちよさそう。
家を出る前から、お昼は「吟治」のつけ麺に決めていた。洋食屋「マック」の行列が珍しく、お店の前で止まっていたから一瞬迷ったけれど、口がすっかりつけ麺モードになっていたので初志貫徹。「卵がいい」「ねぎがいい」「麺がいい」「何度来てもいい」と二人で言い合いながら大満足。
一度家に戻って洗濯を干し、自転車で三軒茶屋へ。Twililightへヤスダ彩さんの写真展「Le Déclic Magique」を見に行く。テーマは「想像する練習」。作品の代田橋駅の小窓から見えた彼はいったいどんな人だろう? 存在や不在から想像する楽しみ。
ヤスダさんの写真を知ったのは昨年だけれど、実はその前から大好きな映画『サマーフィルムにのって』の宣材で拝見していたことを知った。彼女のきらきらしたまなざしが映りこむような、ノスタルジックな写真の手触りが好き。じんわりと若さの楽しさが伝わってくる。さらにご本人のことを知る前から、なんだか楽しそうに素敵な写真を交えた日記を書く方だと思い、はてなブログもフォローしていた。そんなヤスダさんに初めてお会いでき、感想を伝えさせていただくことができてうれしかった。
『ほんとうは、どうしたい?』(佐々木ののか・しいねはるか)を発見。発売日に買おうと意気込んでいたのに、近隣の書店のSNSで「品切れ」の投稿を見ていたから、並んでいるのを見た瞬間、うれしくてすぐ手に取った。レジで熊谷さんに「買えてうれしいです」と伝えると、「いい本ですよね。ちょうど再入荷したところなんですよ」。わあ、ナイスタイミング!
三茶に来ると必ず寄る、屋上が気持ちいい「a-bridge」へ行ってみたがあいにく満席。まあ、今日はa-bridge日和だものな。笹塚まで戻り、「みなと屋」でいちごミルクのかき氷とたこ焼きを食べることに。

今日は珍しく私たち以外にお客さんはいなかった。いつも大混雑の店内でちょっとぴりっとしている時もあるおばさんとおじさんが、仲よさそうにわちゃわちゃ話していたので、思わず彼と顔を見合わせる。なんだか、めちゃくちゃいいものを見た。
笹塚の家から自宅へ戻る途中、環七の歩道を一生懸命走っている白髪のおじいさんを見かけた。孫らしき男の子(大学生ぐらい)に、バトンのようにお財布を手渡す。「おじいちゃんすげー!マジ助かった!ありがとう」と笑う孫に「おう!もうバス来てるぞ!早く乗れ!」と、阿佐ヶ谷駅行きのバスを指さすおじいさん。
マラソン大会の名前が書かれた真っ青なTシャツ、ムキムキのふくらはぎに、真っ白なスポーツソックス、ナイキのスニーカー。かっこいいなあ。おじいさんも自分の足で孫の役に立ててさぞうれしく、誇らしかっただろう。ひそかに拍手を送りたかった。
帰ってきてから『ほんとうは、どうしたい?』を第三便まで読み、胸がいっぱいになってぎゅっと抱く。お二人の往復書簡は、こんな自分のためになされているような気さえしてくる。また「自分のための本」を見つけた。『未知をひらく』、『クソみたいな世界を生き抜くためのパンク的読書』の版元でもある地下BOOKSさんには、夏葉社さんと並んで絶大な信頼を置いている。今回もまったく裏切られなかった。